ひらのゆうじ税理士事務所

【消費税】食料品の消費税はどうなる?「実質ゼロ化」案の全体像

【消費税】食料品の消費税はどうなる?「実質ゼロ化」案の全体像をわかりやすく解説

■まず結論から

食料品の値上がりが続く中、超党派の「社会保障国民会議」の実務者会議で、食料品の消費税についての案(議長案)が示されました。主な内容は次のとおりです。

・2027年4月から2年間に限り、食料品の消費税率を今の8%から1%に引き下げる
・1%分の税収(年約6,000億円)を使って、中低所得者に所得に応じた給付を行う
・この組み合わせにより、食料品の消費税負担を「実質ゼロ」にする

現時点ではまだ「案」の段階で、決定したものではありません。

■今の食料品の消費税は?

現在、消費税の税率は原則10%です。食料品(酒類や外食を除く)には、生活への負担を和らげるために、低い税率8%(軽減税率)が適用されています。
今回の案は、この8%をさらに1%まで下げようというものです。

■なぜ「0%」ではなく「1%」なの?

当初は「税率0%」も期待されていましたが、今回の案は「1%」とされました。その背景には、お店のレジや会計システムを改修するのにかかる期間の問題があります。

経済産業省の資料によると、税率を0%にする場合は、インボイスへの対応や、消費税がかからない取引との区別などの課題があり、システム改修に最大1年程度かかります。一方、1%であれば約半年で導入できるとされています。
つまり、できるだけ早く実施することを優先した案といえます。

■「実質ゼロ」とはどういうこと?

税率を1%にすると、1%分の消費税は残ります。そこで、この1%分の税収にあたる金額を、中低所得者への給付に回します。
「税率は1%だが、その分は給付で戻ってくるので、実質的にはゼロ」という考え方です。

■今後のスケジュール(議長案)

2027年4月1日:食料品の消費税率を2年間限定で8%から1%に引き下げ
2027年秋ごろ:中低所得者を支援する「所得に連動したきめ細かな給付」を先行導入
2028年秋ごろ:所得に連動した2回目の給付
2029年3月31日:減税終了。食料品の税率を8%に戻す
2029年秋ごろ:所得に連動したきめ細かな給付を本格導入

今回の減税は、ずっと続くものではありません。2029年秋から本格的に始まる新しい給付制度までの「つなぎ」として位置付けられています。

■賛成・反対それぞれの意見

【案を支持する立場の主な考え方】
・物価高に苦しむ家計の負担を、できるだけ早く軽くできる
・給付と組み合わせることで、所得が低い人ほど支援が手厚くなる

【慎重・反対の立場の主な考え方】
・一部の野党からは、「2年後に突然8%に戻すのは大増税になる」という強い反発が出ています
・減税の財源をどう確保するのかが、まだはっきりしていないという指摘があります
・レジ改修などお店側の負担や、外食との税率の差への影響を懸念する声もあります

■事業者の方が今から考えておきたいこと

もし実施されれば、食料品を販売するお店や会社では、次のような対応が必要になります。
・レジや会計ソフトの税率設定の変更
・値札や請求書(インボイス)の表示の見直し
・税率が変わる前後の取引の管理

正式に決まった段階で、早めに準備を始めましょう。

■まとめ

今回の案は、システム上の制約から「1%+給付」という形をとっています。ただし、2年後に8%へ戻ることを含め、家計への長期的な影響には見えにくい部分も残っています。
一時的な負担軽減にとどまらず、持続可能な社会保障制度とあわせた議論が求められています。今後の動きに注目していきましょう。

※本記事は2026年6月時点の情報をもとに作成しています。記事中の内容は検討段階の案であり、今後の議論で変更・見送りとなる場合があります。